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LOGOSさんの月に1,2回古書店

「図書」(岩波書店PR誌)恐るべし。

「図書」5月号を読んだ。
岩波書店の底力を感じさせられた(様な気がした)。

まず、巻頭の「ウソ日記」(最相葉月)。ウソ日記、さっそくさせてみたくなる(生徒に)。
それから平野啓一郎の、大学時代の回想と小野紀明先生の「西洋政治思想史」講義の思い出の文。
自分がその授業を受けていたような気分になり、ゾクゾクする。
うーん、受けてみたかったな。自分にとってのこれに近い体験は「言語学」のそれかな。

細川哲士氏の筆による「両界橋の謎~古文書の余白に」もすごい。
橋の名前から始まって、その土地の由来をどんどんたどっていく(舞台は東京の高尾駅近く)。
そしてその結末の文の見立ての確かなこと!
(…腕力で勝った方の意見がその後大勢を占めることになった、と記憶している。)
歴史は書き換えられ続けている。

そしてなんともうならされてしまったのは次のエッセイであった。
「私の遺伝子の小さな物語」。イリナ・グリゴレ。
手術をした後の身体が伝えるメッセージを細胞レベルにまで還元し
また意識は時空を超え、過去(先祖)と未来(ここではないどこか)を行き来する。
科学の歴史を三百年にすぎないと看過する凄さ。
古いしきたりは、中世の慣習は、本当に無知蒙昧の象徴なのか?
白川静の文字学に通ずる、呪術と祭礼の意味を帯びた儀式の文字への影響を思い出させる。

中世がいいと言っているわけではない、古代社会へのノスタルジーですらない、
ただ物事の・文字の起源にさかのぼることを忘れてはいないか、と警鐘を鳴らすだけ。

ギリシア語をよめるようになりたい、と思っていた頃の記憶を思い出してしまった。
今年は貪欲に勉強したいものである(いろんな意味でね)。

人文書、売れない時代にこのような初心者の初心を思い出させてくれる
良質な文章をたくさん載せたPR誌を無料で読めて幸運であった。
「ちくま」も面白く読んでいるけど、かなわない、と思った。
(毎号そう思えるほど読み込んでいるわけではないけど。今回はたまたま。)
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by iwashido | 2015-05-07 23:47 | 読書日記 | Comments(0)

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