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LOGOSさんの月に1,2回古書店

2007年 02月 24日 ( 1 )

「免疫抗体発動の否定」から生まれるもの。

『憲法九条を世界遺産に』(集英社新書/太田光・中沢新一)を読む。
今更遅きに失しているかもしれないが、それでもやはり。

宮沢賢治やハイデガーが、残した作品(著作)とその背後にあった各人の政治的な態度の関係の辺りをおもしろく読む。ハイデガーのナチズムへの加担に比べて、賢治の田中智学への傾倒は私はあまり知らなかったけど、私が宮沢賢治の童話作品を素直に読みきれないモヤモヤとしたものの原因が少し見えたような気がした。ただの印象だけどさ。

中沢新一が最後のあとがきにあたる部分で、とてもおもしろい分析をしていて、それはこれからの世界のラジカルな展開を夢見させてくれる。つまり、
憲法九条が堅持する「国家間の紛争解決の手段としての戦争放棄」は、免疫機構の比喩で言えばある意味「自らの免疫機構を解除しようと思う」と語っていることだ、と書く。

「自らの存在の深部に、免疫抗体反応の発動を否定しようとしてきたものが、憲法九条以外に、この世にはすくなくともふたつある。ひとつは母体である。・・・・もうひとつは、神話である。」(上掲書、P167~168)

世界は温暖化し、化石燃料の涸渇は時間の問題であり、いまのまま経済成長が持続するはずはないとわかっているのに、その歩みを止められない哀れな私たち人類。
これはもう、正論や倫理で制御しきれるものでもなく、
これほどの混乱に立ち向かえるのはある意味、あらたなる神話の創生か新しい世界観の誕生を待つしかまいのでは、と考えさせられる。
こういうたとえ話に弱い私は、これだけで憲法九条は改憲するべきではない、と思ってしまうのである。
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by iwashido | 2007-02-24 10:19 | 読書日記 | Comments(2)

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