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古本LOGOSの 月1,2回古書店。

気分はジオパーク。

三月某日 天気が良い。道路凍結の心配がない休日の昼前。お互いの用事が11時過ぎにはだいたい終わった。気分転換にどこかに出かけたい夫と、夫が運転するなら便乗しても良い私。話は決まった、よし、海沿いの道を通って輪島まで行ってみよう、と。w
石川県土木事務所の威信をかけた、半島一周の249号線を1日も早く全線通行可能にすることは、通勤や買い物、その他生活復旧のためにしなくてはならないことだ。昨年の晩秋までには、とにもかくにもつながったというニュースは見た。しかし実際通勤しているわけでもないし、買い物などの用事は金沢に出た時に済ませてくる生活だったし、夕暮れが早かったり、雪が降る期間に出かける気には正直言ってならなかった。しかし、今日のように春の日差しが暖かくなると出かけてみたい気分になる。最初は、柳田ー町野経由。この道ですら、本当にいけるのか半信半疑。途中かなり長い片側交互通行が3箇所くらいあった。まだ傾いたままの家も多い。公費解体? どこ吹く風。とにかく二月の2回の大雪警報はいろいろなことを延期させることになった。町野川沿いに海に出る。大川の先の峠道はどうなったのだろう。フグやカワハギの天ぷらやフライが美味しいと評判だったお店も営業している様子ではなかった。土砂崩れが起こり、海底が隆起した海沿いに少し幅狭とはいえ立派な道路が開通していた。オーシャンビュー! 魅力的な立木。元の道は石や岩に覆われていて。リニア新幹線のトンネル工事を行う日本の大手土木会社にとって海側に鉄板を引いて土を持って仮のガードレールを設置して道を作ることくらい造作のないことだろう。天気さえ良ければ、アメージングなドライブを楽しむことができた。とはいえ。
これで復興かよ、と捨て台詞を吐きたくなる様な景色はあちこちにある。多くは望むまい、いきているからこそ見える風景がある。これは地球の大きな運動である、「チ。」のような。動くはずのない地面が、大地が大きく動き隆起した。心なしか遠くに見える七ツ島のかたちも変わったようにおもえた。右端の島、大きくなってない? そう思えるほど毎日通勤したわけではないが、毎週一度は輪島に行ったこともあった。図書館の本を返しに、レンタルビデオを返しに、もしくは納品や追加のために。こうしてまた海周りで珠洲から輪島に行けるようになったのは、人類の大きな一歩である。

楽しい通り越して千年の時間の流れ感じたのはむしろ帰り道だ。以前は海底だったところが浜になり、岩場で地面は硬いから道にした、それは序の口。本来ならトンネルを通っていた道の、トンネルそのものが土砂崩れで埋まってしまい、岩場を縫って繋いだ道がある。窓から手を伸ばせば、石の堆積層が見える、触れる。これはもうジオパークだ。地質研究をしている者にとっては格好の観察場所だ。糸魚川のフォッサマグナにも匹敵するような。
あいにくiPadを持参していなかったので写真は一枚も撮っていない。しかし、気分はアリゾナやネバダの切り立った崖の道を通って来た気分。イギリス海岸も今やアメリカだ。たった片道30分強、1時間弱のドライブなのに世界一周をして来た気分。日曜日なら比較的運搬トラックが少ないようなので、晴れた日曜日に、ある程度車の運転に自信のある人には半島一周ドライブを体験してみてほしい。そしてあの日どれほどの力で大地が揺れたのか動いたのか、よく想像してみて欲しいのだ。私たちは分厚い亀の甲羅の上に住んでいるのとそう変わらない、というのがわかるはずだ。そしてそれでも地球はまわっているのだ。
この地震で命を落とした全ての生き物に、合掌🙏…。

こんなのは序の口なのである。


# by iwashido | 2025-03-10 07:39 | ロゴス&LOGOS | Comments(0)

蜜柑、ひよどり、フキノトウ、そして本。

三月某日 三月になった。なってしまった。意識するとしないにかかわらず地球は動いている。日の出は少しずつ早くなり、朝5時半には真っ暗闇ではない。夕方の日の入り時刻も伸びている。午後5時に犬の散歩にでても充分に明るい。フキノトウを探せるくらいに。

去年は、年末にお歳暮で頂いた箱入り蜜柑にカビが生えてしまい、人間が食べられる状態のものが半分くらいだった。その、処分すべき蜜柑を悪いところ切り取って枝に刺したのがひよどりとの出会いだった。差し出したものを素直に受け止めて(食べて)もらえるのは無償に嬉しい。
地震により奥能登に住む多くのひとの家の秩序は一時的に停止、もしくは崩壊した。あれから一年。とても住めないと思えた我が家も、崩れた壁を外に出し、倒れた家具をもとに戻し、壊れた食器や不用品を捨て、多少の家具を入れ替え、窓ガラスを直したらなんとか、住まうことが可能になっている。良い材木を使っ ている、柱はほとんど基礎からまっすぐ(一部ずれはあるようだが)、「家は面で考えると良いです。①まずは雨漏りや隙間をふさぎ②それから壁、③擁壁の崩れの優先順位はそんなにいそがなくても」というのが古民家再生アドバイザーとしてきた建築士の方の見立て。
とは言え、玄関の柱はビミョウに傾いている、障子は破れたまま、網戸も用をなさない、ストーブを炊いても炊いても寒い、小動物の出入りの形跡あり、など不愉快な側面は多い。最も問題なのが率先して片付け作業に携わるべきであるワタクシが、片付けが天才的に苦手だということである。。。
本は崩れたまま(一部は片付けたが)。そのくせ買取はしてくる。催事に出品しても全部が完売することはないのでまた戻ってくる。単発的に入るネット注文。ありがたい。1、2月は全集系や郷土史の類いが動いたので大変助かった。座敷を占領する無造作に置かれた本たち。売り物なのか、処分すべきものなのか、全く分類できない。それくらい混乱している。よくまあ今日まで生きて来られた、それだけでありがたいと思おう。

というわけで、古本屋としては自殺行為なのかもしれませんが、「リトル・リトル・ライブラリー」というのを試みで始めました。二三味珈琲カフェの一画の本棚を利用して、民間個人事業主主体の「自由に借りられる本棚」です。特に手続き入りません。ノートに書き込む必要もない。読み終えたら返して下さい。期限もその人その人で。
蜜柑、ひよどり、フキノトウ、そして本。_c0107612_09493432.jpeg

但し、一時的に珠洲を訪れただけでこの本読みたけど返せないかも、、とか、
お金を払ってでも欲しい本に出会えた場合は、次のようなサポートを提案します。
★基本は One Take、One Give.なので、代わりの本を置いていく。
★持ち合わせの本などない場合は、棚に小さな赤い貯金箱があるので、お賽銭程度の義援金をそこに入れて下さい。次の仕入れ(本棚用の)や備品購入に使わせて頂きます。
★場所を提供して下さっている二三味珈琲の商品購入、もしくは飲食利用などでお返し。。
★本を返す予定の方は、そのまま借りてOK。
(但し、転売目的でのご利用はご遠慮下さい。あなたに、読んで欲しいのです)
そんな緩い本棚です。まだ始まったばかりで、来客者と本のミスマッチも多いし、店内には売り物の本もある(表に値段をわかるように表示、もしくはビニール袋入)ので混乱されるかもしれません。。なんでこれが売り物で、これが貸本なの、の基準も曖昧。。まあ、ワタシの気晴らしとして、買取なども行なっておりますので、解体前に本処分をする必要があるかたは、本棚近くに張ってある連絡先携帯番号若しくはメールでお問い合わせ下さい。。。(当方、LINEはやっておりません)。
また、この本棚の責任者は、古本LOGOSですので、二三味さんは場所を貸していただいているだけなので、お問い合わせは古本LOGOS(検索してください、何かヒットするようです。。)宛にお願いいたします。
本は定期的に入れ替えや補充を行っていきます。予約システムなどはないのである意味出会いは一瞬! です。
今日も一日、生き延びるために頑張りましょう…。
蜜柑、ひよどり、フキノトウ、そして本。_c0107612_09563633.jpeg

# by iwashido | 2025-03-07 09:56 | 季節のできごと | Comments(0)

我もまた きらわれものの ヒヨドリに 蜜柑与えし 光の春に

我もまた きらわれものの ヒヨドリに 蜜柑与えし 光の春に_c0107612_08240721.jpeg
二月某日 二月寒波二回目予想では、一回目に負けない大寒波、大雪と予想され戦々恐々としていたが、思ったほどでなくてホッとしている(いまのところ)。もちろん雪は降っている、道路も一部では走りにくい、しかし車が出せない程埋まったとか、日常生活が困るほどには今はなっていない、、、奥能登の、内浦側の一地区における現状。

 先ほどN…ラジオのニュースの合間の投稿に、「(暖かい地域での話題のようであったが) 園芸名人に植えてもらった菜の花(の蕾? 咲き始め花?)がヒヨドリに食べられて「被害」にあったから、お宅も気をつけて…」と言われたというような投稿が読みあげられた。投稿者さんのお宅には野良猫が出入りするので今のところ被害はないそうだが、大事に育ててきた花芽を食べられてしまうのはそれは悲しい。うちには、生垣のツバキの花もあるし、もう少しすれば果樹園の梅が咲くだろうし、桜が咲けば見向きもされなくなるまでのあと少しの間、その桜の枝に蜜柑、もしくは柚子、もしくはきれいに空っぽになった半分のみかん殻に、キーウィ半分をちょうどはめ込んで刺してヒヨドリを餌付けている。もしかして近所迷惑になっているのだろうか。他の小動物を呼び込んでいないか、など心配は尽きないのだが、雪に埋もれた庭にやってくる野鳥はそれがたとえ嫌われもののヒヨドリであっても嬉しいものである。この辺はカラスの通り道でもあり、キーウィとわかるようにそのまま刺しておくとカラスにやられた。場合によっては小動物らしき足跡を見ることもある。昨日は一階二階の間の屋根裏で大運動会が繰り広げられたらしい、、、私は昨日爆睡して、死ぬってこんな感じかな、、と思うほど豊かな眠りに吸い込まれ今朝はすこぶる元気である。そして積雪も思ったほどでなく、時折、太陽も顔をのぞかせてくれる、青空も見える。春が少しずつ近づいているのがわかる。
 ヒヨドリに蜜柑をあげるのはほんとうにせめてもの心の慰めなのである、最近鳥と会話できるかも、、というのがわかった。週末、池の周りの遊歩道に夫と散歩に行った時(彼は双眼鏡で鳥見をする)、わたしは口笛で鳥寄せをする、ファの音をベースにした下手くそな口笛を続けていたら、シジュウガラが近いてきた、最初は遠くにいて双眼鏡でしか見えない距離だったのに繰り返される口笛に親近感を持ってくれたのか、羽ばたくごとに近寄って来ているのがわかった。わたしはあまり個体には興味がなくて、自然一般というか鳥全般、イデアとしての鳥が好きなのだが我が家に来るヒヨドリは例外だろう。カラスに横取りされないよう朝日がのぼりきる少し前に餌を刺しに行くと決まって「いいの? いいの?」という感じで近くの枝で待っているヒヨ1号がいる、、毛並みの整わない、少し丸めの自分によく似たダダくさな感じのヒヨである。顔を覚えてくれたのか、近くでザクザクと雪かきしていても平然と食べている。その子がいなくなるころには、も少しスレンダーでシュっとした感じのヒヨ2号がやってくる。もしかしたら3号、4号もいるのかもしれないがそこまで区別はできない。ただ無心に与えたものに無心に食らいついて来ていることが何よりのgiftである。わたしたちはこの世に送られている、送られてきたものはお返しすれば良いのだ、それぞれができる形で。

ブログテーマ:冬の風景
# by iwashido | 2025-02-20 08:57 | 季節のできごと | Comments(0)

この地震で気づいたこと

この地震で気づいたこと_c0107612_11475235.jpeg
ダークツーリズムに来てください。いまの奥能登はまさにその格好の場所でありましょう。
きっと満足なおもてなしは期待出来ないでしょう。
期待した飲食店で待たされたりするかもしれません。
日曜日でやっていないコンビニもあります。
思ったよりコスパ悪いでしょう、ガソリンも灯油も上がってしまって、、、。

でもわたしはいま、これは新しく始めるチャンスだと捉えてみることにしました。長年の慣習はもうお終いです、やりたいこごをやっていくチャンスです!

古本屋を片手間に、好きなように生きていく最適解が導かれるかもしれません。
大好きな2月がやってきた。今日は旧暦小正月、明日から薮入?
現地に住むわたしはこの現場を伝える言葉を持ちません。
だから、お天気の良い日に、徳田大津まで里山道できて、徳田大津から下に降りて、輪島か、能登空港か、鵜川宇出津か、すずらへんまで来てみてください。
ちょっと慎重に、少し自衛策(最低限のコンビニメシとか持参)持って来るくらいの準備をして。。施しはいらないから。現実を現場に見に来て欲しいだけです。


# by iwashido | 2025-02-12 12:12 | ロゴス&LOGOS | Comments(0)

鳥を呼び、鳥のさえずりを聴き、運が良ければ見える

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2月某日 
毎日台所のカーテン越しに、ヒヨドリが来るのを見るのが日課のようになっている。みかんももうすぐなくなるなぁ。。。だから一日半分、って決めたはずなのに、喜んで啄む姿を見ているとついつい追加してしまう。甘いのである。今日は柚子半分の上にみかんの皮被せて刺してみた、でみごまかされない、賢いのだ彼らは。柚子はほぼほぼ食べない、苦いから? エグ味あるから? 甘いみかん果汁と皮が好き。昨日は水たまり(外竈門用の鍋、雨水たっぷり)の水を飲みつつ周囲を伺って水浴びする姿を見てしまった。どの個体かはわからない。でも確実に3個体以上のヒヨがこの場所を餌場にしている。一羽は、朝、わたしが半分にしたみかんを持って出ると、田んぼの方からスィーっと飛んできて、まだですか? もうすぐですか? と催促をずるような顔で枝に止まっている。近づいても逃げない。一度夕方近くにみかんを刺したら、ヒヨドリはもう食べに来なくって、でも何かに野生の存在がそれ食い散らかした跡があった。鳥ではないと思われた。それ以後、午後の餌やりはしない。午前中勝負である。そして朝、地面に落ちた皮を拾い、半分もしくは1/4に切ったみかんを枝に刺すのだ。日々この繰り返しである。

昨日は近くの池の周辺散策路まで遠征にいった。去年の地震の時、池の水を浄化して生活用水として使ったことで一時有名になった池の周りである。一説ではこの地下深くにミミズくんが潜んでおり、地震を起こしたらしい。かえるくんは阻止しようとしたが、アンナ・カレーニナが機関車巻き込まれて行く時に感じた、抗いようのない圧倒的に偉大な力に完全に勝利することは出来なかった、だからあの日があって今はあるのだ。
家人は双眼鏡オタクでもあり、何種類かの双眼鏡(ヤフオクで手に入れた中古品)を持っている、そして鳥を見たり星を見ようと試みたりしている。その池の周囲を歩いてみた。ところどころに亀裂の入った道、落石あり倒木あり、これでもだいぶ良くなったんやぞ、最初は一周どころじゃなかったからね。。杉の木も何本も枯れて、三月までに伐採してくれて言われとるけどうちじゃ出来んしね……と仕事の愚痴も交えて我が家の庭では見えない鳥を探して歩く。鳥、おらんなー、、というのでとりあえず口笛を吹く。何となく、鳥っぽい短いピーという音を出す。すると、お返事のような応答あり。ピー、ふくと、なんとなく応えてくれているような感じ。右上の高い木の上に鳥の姿が。双眼鏡でみると、腹が赤くて頭も赤い、コツコツ、と木をつつく音もする。これって、、キツツキの仲間じゃね?! と家人は嬉しそうである。わたしにも見せてくれたけど、確かに木をコツコツと叩いていた。村上春樹が文章を書くように、規則正しく。

その後も池一周会う途中で何度か口笛を吹き、それに応えて近づいて来るものあり、遠くで音だけ返すものあり、カラスも仲間に入ってきそうになったのでそろそろ退散、ちょうど一周してまた元の駐車場前に戻ってきました。午前中に焚き火もして震災廃棄物と称していらないものを廃棄物置き場に出しに行ったりして、少しずつでも進めていく。元に戻したいわけではない、新しく始めるために。どこに向かうのかもわからないけど。アイルランドのように荒れ果てた大地の魅力というのは、あるのかもしれない。アイルランド文学が通奏低音のように西洋に染み込んでいるように、アイルランドのジョイス目指すのだ。もしくは、フランスのプルースト? どっちの作品も完読してないのに、馬鹿言ってんじゃないよ〜😅⁉️

# by iwashido | 2025-02-02 10:32 | 季節のできごと | Comments(0)

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