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古本LOGOSの 月1,2回古書店。

廃屋の陽だまりにて。

三月○日 雨

罹災証明の二次調査と、瓦礫片付けのボランティアさんの下見が
午前中に重なる。私は月一通院日が午前中のため、全ては
この家の世帯主たる人にお願いする。
地震の後片付け、自宅の緊急用件のためならいくらでも休ませてもらえる
今の会社状況らしい。皆が被災者であり、労働者である。

病院には水道が復旧したため、水洗トイレを使うことが出来る。
それが一番うれしいことかな。
別に毎日お風呂入りたいとは思わないし、下着以外の洋服は
一週間以上同じでも平気。会社勤めであるじゃなし。
でも、春が来ると、夏が来る。夏は、暑いものである。
その辺の不安がある。

今日は朝の配給〔うちの避難所では、朝、在宅避難者でも支援物資を
ならべば貰える)の帰りにフキノトウを摘む。見たら、摘む。
目に入ったら、取りたくなる。本能である。
配給ですら時々行けない〔寝坊したり、他の用事と重なったり)くらいだから
炊き出しに並ぶのはもっと嫌である。体育館に避難している時は、他に
食料調達手段もないし仕方がない、と思った。
でも、自宅に戻ることができて、ガスと電気と石油ストーブを利用できる
環境が整った以上煮炊きは出来る限り自宅で行いたい。
お金を貯めるために、配給を活用するという方法もあるようだが、
個人的には、開いている商店を積極的に使い、経済を回したい。
小さな小さな市になってしまう〔いっそ町に戻せばいいのでは)この街、
大手ドラッグストアやコンビニに頼るのも良いが、
大手は見込みないと思ったら、あっという間に撤退するからね。
町のためなんてあんまり考えていないからね。小さいお店は大切。

ヒヨドリのヒナ子が来て、みかんを啄んでいる。幸せ。
この鳥たちは食べながら排泄もする。鳥はいいなぁ。

病院の帰りに、いつも行っていた美容院に電話したら、
やっているし、予約も取れたので指定された時刻に行く。
店主は一時間以上かけて、穴水よりもっと南の方から通って来る。
珠洲がご実家。あの、荒れた道を。一月末から通っているそう。
別に、頑張っているとか、みんなのため、とか言わないのが粋。
もうずっとそういうライフスタイルになっているから、
店舗に被害がなかったから、通って来ないという選択肢はない、という。
シャンプーもしてもらう。水道はまだ来ていないが、
ビニールの水タンクにたくさん水を詰めて持ち込んでいる。
温水を作るキャンプ的知恵も使えば、シャンプー台も仮仮設だけど
ディラーさんに相談したらいろいろ貸してもらえたとのこと。
相談するっと大切デスね。

本の整理をする気分になれない。
せめて、某珈琲店に置かせていただいている
『買って応援! ろばのロゴスくんエコバッグで復興支援』の
袋詰めでもしよう。これにロゴス通信をつけることが出来れば
また一歩前進できるかもしれない。人類にとっては小さな一歩廃屋の陽だまりにて。_c0107612_16171039.jpeg
であるが、わたしにとっては遥かに遠い一歩である。
がんばりすぎないよう、今月は残りは低空飛行で行きます。

# by iwashido | 2024-03-12 16:18 | 朔のつぶやき | Comments(0)

「介護民俗学」を体験してしまった。

3月某日 夫がいつも仕事(庭木の剪定)に行っているお宅の住人の家族(別居)が
     地震で被災した家に、後期高齢者を避難所くらし兼自宅片付けさせて
     おくわけにはいかない、というので、亡父の蔵書を片付けたい、という話
     が突然舞い込む。来週にはもういなくなるみたいよ? すごく急いでる?
     どう考えても無理でしょ、私だって自分ちの本の片付けもしてないし、
     いま冷静な判断力ないし? と渋るが、とにかくオレ今日仕事してるから
     顔を出して、という指令が来たので、取るものもとりあえず出かける。
     隣町。珠洲よりは、被災状況は悪くない、といううかかなりまし。
     でも、海に近い家は液状化現象で赤紙(危険)だったりしている。
     赤紙だからといって=全壊、ではないのがビミョウ。立ち入り注意かな。

     とても本が好きで勉強家だった親子の蔵書がごっそり。
     古いものも多少。古物、骨董のたぐいはわからないので、知り合いの
     古物が得意な古書店さんと、古物兼いろいろ扱う中能登の方にお話をふる。
     古本のほうは、どなたかに、、とも思ったのだけれど、わざわざ遠くから
     足をはこんでこれだけか、、と思われても困るので、地元有志で何とか
     することに。そんなんで水木金土、と久しぶりに仕事した(ってしてない
     けど。。。うろうろ調整してただけ)。

     結論。私は古本屋には向きません。足も悪いし、何が価値(お金になる?)
     のある本で、何が売れないか、まったくわからない。
     美味しいものは皆、他の人にさらわれた、ような気がする。アドバンテージ
     取れたのに。。。(くすん)。
     でも、艶書は、女子の古本屋にはハードですし(笑)、古物骨董は範疇外
     だし、モー、モノが多すぎて、ニッチもサッチモいかない四日間であった。
     そんななかから、サクサクと、自分にとって必要なものを最短時間で
     発掘していく二古物商はプロだ、と思った。こういう仕事の仕方を
     すればよいのか。いるものはいる。いらないものは、いらない。
     
     わたしはひたすら同じ昔話を何度も繰り返す、この家の女主人の話し相手。
     これは、「介護民俗学」の世界であった。老齢の方の昔話から見えてくる、
     戦前から戦争直後の日本の「家制度」とそれにまつわる、利発な女子の
     末路(というか行く末)。義母を、もう少し感情豊かにしたような方。
     家制度のある意味、犠牲者でもある。もうこんな世界観は終わりにしよう。
     なんだか憎めない女主人は、うちの亡母と、誕生日一日違いの同い年。
     そうかぁ。なんか他人のような気がしなかったのはそのせいかな?

     ラジオで、いとうせいこうが、福島や東北の震災体験者から話を聞いて
     それをモノローグ風に再現して連載して本になって、という話を
     小耳で聞いた。「震災ラジオ」からの一連の流れかな。
     それをすればいいのかも。奥能登震災モノローグ。いろんな人の
     話をきく。今は固まって言葉にならない思いも、時間と共に、
     状況の変化と共に、ふと言葉にできる日がくるかもしれない。
     言葉なんて嘘なんだけどさ。でも、語ることで違う世界が見える
     可能性もあるかもしれない。

     3月11日の午後4時頃に、そんなことを思ってしまった。
     ウグイスが鳴いていた。キジもないた。
     ヒヨドリはミカンをせがみ、スズメは屋根の隙間に巣をつくる準備。
     今年はツバメがやってきても巣をつくる納屋がない。倒壊したからね。
     それが残念。せいぜい家の中に巣を作らせないよう、自衛しなければ。
     それまで生きていたらね。地震また来たらアウトやからね。
     其れもまた良し、と思えてしまう今の自分であった。
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# by iwashido | 2024-03-11 16:32 | ロゴス&LOGOS | Comments(0)

「大津波警報」はでたけれど、大津波は来なかった体験記。

3月某日 虹を見る。
     光の春? というには寒い。
     2月でいえば、32日くらいかな。

こんな人もいるんだー、と思ったら。。。当事者でした。
是非ご一読の上、忌憚のないご意見お待ちしております_(._.)_

# by iwashido | 2024-03-11 15:42 | ロゴス&LOGOS | Comments(0)

わたしの日々は息に過ぎないのだから。

#ヨブ記
 (十一 ヨブの第一回弁論・続(七))

七 わが生命は息に過ぎぬことを覚えたまえ。
  わが眼は再び幸いを見ることはないでしょう。

一六 わたしはいつまでも生きることを望まない。
   わたしを離れて下さい、わが日は息に過ぎないのだから。
わたしの日々は息に過ぎないのだから。_c0107612_09484394.jpeg

# by iwashido | 2024-03-02 09:49 | 読書日記 | Comments(0)

大地震(おおなゑ)は 振るものである 中動態。

二月某日 雨
気分は「方丈記」。
 …又同じころかとよ、おびたゞしく大地震(おおなゑ)振ること侍りき。その様、世の常ならず。山は崩れて河を埋み、海は傾きて陸地をひたせり。土さけて水わきいで、巌われて谷にまろびいる。………
(『新訂 方丈記』鴨長明/ 市古貞次校注 岩波文庫 より抜粋)
 同じころ、とは元歴二年(1185年)七月九日の大地震であろう、との校註。平家物語に類似の文があるとか。
 今、奥能登、特に珠洲市と輪島市の沿岸部で起こっていることに激しく類似。おおげさにではなく、かなり核心をつく。
千年も前から日本列島は同じようなことを繰り返して来たのだ。今回の出来事が千年後迄にも伝わるようにきちんとした事実を書き残せる人はいるのだろうか。
大地震(おおなゑ)は 振るものである 中動態。_c0107612_00163392.jpg
 閑話休題★★知人に付き合ってもらって店舗(LOGOS)片付けに着手。どうしよう、この本。本棚も中途半端に。でもまあ、一人だと途方に暮れてしまうけど、とりあえず話相手か連れがいると、作業の手も進む。今日のミッションは「のだめカンタビーレ」の回収。これはやっぱり枕元に置いておきたい。「スキップとローファー」は避難所に寄贈したけど後悔はない。でものだめは、ダメです。
 お昼は、近くのわくわく広場で自衛隊の炊き出しの列に並ぶ。とても機能的に、ご飯と、鯖炊いたのと、八宝菜をコンビニ弁当のようなパックに詰めてくれる。お吸い物の別容器で。ふりかけか、味付け海苔も選べた。自宅近くの避難所で、炊き出しに並ぶ時は、班ごとに声をかけられて顔馴染みの人への遠慮、リーダーシップを取るスタッフへの(協力できなくてごめんなさい、的な)引け目もあって、アウシュビッツ感が消せなかったが、自衛隊炊き出しはだれにでも開かれた感じがあり、堂々とありがとうございました、といって受け取ることができた。
 話ばっかりであんまり進まなかったけど、大阪のNHKの人の取材? お尋ね、を受ける.ここに住んでいる身分でもないし、ただの股がり、それもほとんどやっていないような古本屋の倉庫がわりだったので、語るべきことは何もない。でも、耐震化が多少されていたので、思ったより使える。。。かも?
「赤紙ブックス」とか「ヘルメット書房」とかいって、危険ですがそれでもよければどーぞ、とかいって天気のいい日だけ開ければ、とそそのかされる。その手にはのりませんよ、忖度、どんたく、ノンアルコール。のっぴきならない話もないので、雨がひどくなる前に早々に引き上げる。
 家に帰ってきて、二階の月刊誌の棚をみたらこんなのが出てくる。これ、今うれば、高く売れるの? Amazon値段とか知らないから、やっぱ売れないでしょ。奥能登の古本屋が今、この本を手放す訳にはいかんなー、と思う雨水の週。
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# by iwashido | 2024-02-28 00:18 | ロゴス&LOGOS | Comments(0)

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