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古本LOGOSの 月1,2回古書店。

想定外、という生き方。

昨日ラポルトすずにて防災講演会があった。
普通ならいかないけど、今回は行かなければ損。
だって演者は、釜石の小中学生を大津波から逃げさせた
布石を学校防災教育によって行ってきた
片田敏孝教授(群馬大学大学院教授)であるから。

9月に予定されていた講演会が台風で延期になり
この時期の開催となった。なんというグッドタイミング。
3月11日に多くのテレビ番組で取り上げられ放送されていたので
リアルな思いで多くの人が集まっていた。

片田教授の教えは次の3つに集約される。
 ①想定にとらわれるな。
 ②最善をつくせ。
 ③率先避難者たれ。

釜石の小学生相手に行った授業で最初に、
防災マップを配り、そして直後に生徒にこういったという。
「防災マップを信じるな。」
そのことで、現場の教師とは見解の相違が明らかになり、
教育現場の限界もよくわかった上で、見事な実践を積み上げてきた。
そのことが、去年の311で明らかな行動となって現れた。

こんな大地震が起こる前に、珠洲でも配られた防災マップ。
大雨や土砂崩れや地震などを想定して作ってあるもの。
でも私はそれを見たときこう思った。
「こんな海に近い小学校に避難して、津波きたらどうするん?」
能登地震も起こる前だったかもしれない。
でも、私には、海に近いところは津波、という得体のしれない確証がある。
なんの根拠もなくただそう感じていた。

私の言葉など家人は誰も真剣に聞かなかった。
「そんなでかい津波おこるわけないやん。
 あんた一人だけ好きなほうに逃げさし。」

とにかく私は今回の講演を聞いて、
自分が常に想定外を想定して生きてきたことを実感した。
だから片田先生のお話は、私の生き方を肯定してくれたようなもので
とてもとてもエキサイティングなお話だった。
ただ、先生と私の違いは、他者に対する優しさの有無かも。
片田教授は、自分の故郷でもないのに、
釜石の町の子どもたちの命を真剣に守りたい、
災害ごときで死なせたくない、そのために何ができるか
小学生を育て、中学生に根拠を諭し実践を示す。

私はこの土地で子どもを育てているというのに
そこまで真剣に彼らの将来を考えてはいなかった。
ただ自分がなんとなく思ったことをなんとなく口にしたら
誰も耳を貸さないので、そこで止まったままだった。
自分だけが助かったところで何の意味がある?
親もダンナも仕方ないけど、子どもは生き延びさせなければ。

私はきっとこれからも想定外としてしか生きて行けないだろう。
決められた枠からははみ出してしまうだろう。
そんな自分を肯定して生きていけばいい。

防災講演会だというのに、人生訓のように聞けて
いろんな気づきをもらえた貴重な体験でした。
片田教授、ありがとうございました。
by iwashido | 2012-03-17 10:43 | 朔のつぶやき | Comments(0)

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