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古本LOGOS 「彼岸の古本屋」ときどき日記。

文藝作品の中の新潟。

久々に読書。
何ヶ月ぶり? ってな感じで図書館から借りてくる。

知人からのおススメというか問い合わせの確認を一冊。
『漁港の肉子ちゃん』(西可奈子・幻冬社)の中の言葉の
北陸弁のルーツはどこかと。

小説の中の町のモデルは石巻で、
でも小説としては「架空の北陸の漁港」として表現されている
その土地の言葉は、どう読んでも新潟のなまりだ。

「~らっけさ」
「そうらろ」
「うんめか(美味しいか)」

ばあちゃんの言葉を思い出す。
いまどきここまでこてこての越後弁を語れるものは少数だろう。
でもどことなく残っている。「ら」交じりの言葉は耳に残る。
北陸ではこういう「ら」音を聞いたことはない。
少なくとも石川県では。

新潟を北陸といえるかどうかは、意見のわかれるところで、
北陸(福井・石川・富山)は新潟を北陸に入れてあげてもいいよ、
って思っているかもしれないけど、
新潟は別に北陸だとは思っていないのではないか。
新潟はしいていえば「北信越」というくくりでつながっている。

偶然一緒に借りてきた絲山秋子の小説3冊の中に
新潟が出てくる作品があった。
『不愉快な本の続編』(新潮社・2011年9月刊)。
広島(呉)生まれの主人公が新潟と富山で暮らす章があって。

海の位置と太陽の位置の関係が、
瀬戸内と日本海側では真逆になる、という描写があって
私も瀬戸内で数年暮らしたから、そうだったなと実感。

富山の人が新潟を北陸と思っている、
という表現はその本の中に書いてある。
その辺の認識は正しいと思う。

昔は新潟って、なんもなくてつまらないところだと思っていたけど、
新幹線が出来て、高速道路もつながって、
東京からも近いし、
「新潟はちょっとした国の首都くらい立派な街」(上掲書P34)
になってしまったようだけれど、
こんなふうに文芸作品に取り上げられるとは思わなかったな。

よく観ることが、よい文章を書くためには大切なのだろう。
by iwashido | 2012-04-13 11:42 | 読書日記 | Comments(0)

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