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LOGOSさんの月に1,2回古書店

哲学は人生論、人生は哲学?

諸事情により、本日の計画(予定)はすべてキャンセル、
そして丸一日の休養をいただいております。LOGOS定例OPENも、金沢一箱古本市もごめんなさい。

先日、福井の勝木書店(本店)へ行った。一時期、駅前再開発のため閉店になるとかならないとか、
移転したとかしないとか噂レベルの話が飛び交ったような気もしたが、先週の日曜にはやっていた。
2階にある、みすず・岩波の単行本がずらりとそろったコーナーがお気にいりですが、
今回は1階のレジ前新刊スペースの前から動けなくなった。
下は売れ筋・話題の本の文芸書平積みの上の棚に、「読みたい」と思うような本が
目白押しに並んでいる。主には日本の文芸書、でも文学だけでなくエッセイも評論も、
時には海外文学も入り混じって絶妙な棚配置の前から、動くに動けない。

左から右へ、上から下へ順に目を動かすうち、サリンジャーの幻の短編新訳(このサンドイッチ、マヨネーズが。。)とか、ナナクロ社の本とか、まあこの本の密度は何? というような磁場になっていた。
あとで良く見たら、どうもこの並びは「書名の50音順」に並んでいることに気付いた。
だから「猫が」とか「猫に関する・・」などという猫本が続いて並んでいたわけだ。

ダンナ曰く、「ここで働く人たちは、自分がいかにいい本屋で働いているか、気づいているのかな?」
というけれど、それは当人に聞いてみないとわからない。もと書店員だった彼には、このような
昭和的な本屋で、かつ人文書にもこれだけ棚をさけるというのは、理想に近いものらしい。

階段の横に、いろいろな作家の方からの寄せ書き・色紙で「応援します」的なコメントが
多く展示されていたので、幸いなことに今すぐ移転閉店ということにはならなかったようです。
(裏話も詳細はしらないので、もしまったく違う展開が待っているのだったら、ごめんなさい。)

結局自分は、今村夏子の新刊と、國分功一郎の『哲学の先生と人生の話をしよう』(朝日新聞出版)
を購入。今村夏子は、旦那が読みたいと言ってた本なので、買ってあげた感じ。
國分氏の本は、この前図書館で借りて読んで結局購入した『中動態の世界』(医学書院)が面白く
またエキサイティングで、現時点での今年度ナンバー1図書であるところの影響による。

これは、あるメールマガジンで連載されていた「人生相談」を本にまとめたものだそうだ。
人生相談、よく新聞紙上で掲載されていますよね。いろんな人が、それぞれの立場から、
時にはあたりさわりなく、時には核心をつくような、時には受け止めるだけでOK,いろんな回答がある。
この國分先生の「人生相談」の素晴らしい点は、相談に「哲学」という視座を導入した点だ。
寄せられている質問が特別高尚だとか哲学的だとか、そういうわけではない。
「子持ちの彼女への愛は本物か」「先行きが見えず不安」とか「会社の先輩に行きたくない飲み会に誘われる」等、ごく普通の、日常生活上だれもが一度以上は思い当たる質問ばかりだ。

このような質問に、テツガク教師である筆者は、大全力で、現代思想からギリシアにまでさかのぼる
膨大な哲学・思想のエッセンスをもって立ち向かう。例えば「子持ちの彼女への愛は本物か」という質問にはドゥルーズキーワードをもって、「彼女のためにソープ通いをやめるべきか」という質問には、マリノフスキーの『未開社会における性と抑圧』をもって、「行きたくない飲み会に誘われる」という質問には『読む哲学事典』(田島正樹)を参照するように、と答えるのである。もちろん、本が紹介されるまでには、質問者の想いを組むような考察があり、書かれた文章から書かれていな部分を補う想像力があり、質問者の本当の悩みは何なのかを探り当てようとする、國分氏の哲学的な眼差しが本書を支えているのはいうまでもない。

今の時代に「哲学」とかいうと、もう時代遅れの、過去の遺物の、理想ばかりをふりかざす無用の長物と思われる場合が多いのかもしれないが、この本を読むと、改めて哲学とは人生であり、人生とは哲学であることに気づかされ、非常に力をもらえた。

何よりも秀逸だと思った言葉は、「どうしたら前向きに語学を勉強することができるか」という質問に対して、
國分氏があげた引用である。。。もし、私が、朝日新聞の「折々のことば」(鷲田清一氏選、で一面に掲載中の)に、推薦する権利をもらえたとしたら、これを推薦したい。
日本を代表するドイツ語学者の関口存男氏が書かれた、ドイツ語の教科書『関口・初等ドイツ語講座』(三修社)に、國分氏が帯文を寄せたくらい、尊敬する先生だそうだ。これくらいの気持ちがあれば、人生なんでもやって行けると思ったし、やはり人生は哲学なのだ(別に概念や語句を丸暗記することではないですよ)と強く激しく同意する次第なのであった。

(関口存男の言葉)
「世間が面白くない時は勉強に限る。失業の救済はどうするが知らないが個人の救済は勉強だ」










by iwashido | 2019-04-21 14:36 | 読書日記 | Comments(0)

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