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古本LOGOSの 月1,2回古書店。

橋本治が生きていたら

今の日本の状況を、橋本治だったらなんというだろう。
「遠い地平、低い視点」というタイトルのエッセイを、PR誌ちくまに連載していた。
それが昨年1月末に突如として断ち切られてしまった・・・
逝って1年ちょっと、その1年がとてつもなく昔のことのように感じられる。

病での入院体験すら記事にしていた、そしてその連載エッセイをまとめた新書(ちくま新書)
のタイトルは『思いつきで世界は進む~「遠い地平、低い視点」で考える』である。
今手元にあるのは3刷であるが、初版をゲットできなかったことは今更だが悔やまれる。
初版発行日は2019年2月10日、死を予期していたかのようなタイミングでの出版となってしまった。

大変多作な作家で、また研究熱心で、編み物から古典文学から、桃尻な高校生の気持ちまで
創造力で補えるすごい才能の持ち主だったと思う。枠にはまらない、はまるつもりもない、
はみ出すつもりすらなく、鳥の視線、もしくは海獣の視点を持ち得る人だったように思う。
お前ら、ほんとにこのまんまでいいの? おれはもう死んじゃったからどうでもいいけどさ、
生きてるお前ら、何かできることあんじゃねーの、俺もう知らないよ。

”「危機意識」はないのか?” と題されたエッセイは2017年10月のものだが、
その中に「将来日本人は三行以上の文章が読めなくなる」と勝手に思っている、と書いているが
もうすでにそうなってるんじゃないのーーーー
長い投稿はスルーだよね。口当たりのいい、わかりやすいコメントやフレーズばかり
飛び交って、つらつらと回り道をして考えることはすでに時代遅れか。
「反知性より無知性がこわい」「ニュースがどんどん下りて行く」
「電波で荷物は運べない」「「バカ」という抑止力」などなど、今こそ読み直したい
橋本治節満載である。時系列順でないが、それがかえって今まさに読んでしまっている。

by iwashido | 2020-03-07 17:11 | 朔のつぶやき | Comments(0)

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