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古本LOGOS 「彼岸の古本屋」ときどき日記。

古本屋をせおって歩く。


9月某日 稲刈りである。電話がかかってきて、急に今日に変更。
     とはいえ最新式の大型コンバインでの作業はサクサクと進み、
     午前中で全て完了。わーなんだかなーという感じである。
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    午後、友だちのMさんが、芸術祭の見学の下見(友達を案内する順路
    確認)のため、すずなりに来るというので待ち合わせる。ホームの上
    で誰かと話をしている、そうかこの人が作品NO。27の作家村上慧氏
    か。Mさんは、21世紀美術館での何回かのワークショップに参加し、
    村上さんがその時必要としていた「藁」を提供した縁で仲良くなった 
    そう。とても親しげに話をしていた。

    私は、すずなりの前はほぼ毎日とおるのだが、(場所見知りなので)
    1人で入っていけない。こういう知人、友人の手引きがないとアクセス
    できない。現在閉まっている展示物も、外から見るのは自由だし、
    好きにドライブしてきて、景色のいいところ行って、お好みのカフェで
    お茶して帰るのが(目下のところの)芸術鑑賞スタンダードなのかな??
    ともかく、Mさんに紹介してもらって、「石川の古本屋」エプロンを
    していたので、「この人古本屋やってるんですよ」と紹介してもらう。
    また、夕書房の本を販売しているので当然、村上さんの『家をせおって
    歩いた』も売りましたよ、あと1冊店頭にありますなどと話をして
    「そうなんだ、珠洲に古本屋あるんだ。。。」と認識していただく。

    駅ホームの売店では、11月から12月にかけて、村上氏が能登半島を
   文字通り「白い家を」背負って歩いたときに拾ったものが、小瓶に入れて
   並べてあり、値段がついている。値段の根拠は、その時にかかった経費  
   (レシート有)で、モノそのものの相場とかではない。沈黙交換というか、
   信用経済というか、貨幣以前のノミの市という感じである。

9月某日  翌日、病院の帰りに、昨日買って読んだ「家をせおって歩き出す前
      の記録集」で言及してあった本、私も同じところで感動していたので
      そのことを伝えに、本と「ビーバー」(北陸のおつまみ?)持って
      エプロンつけて挨拶に行く。佐々木中、いいですよね、この人今
      何してるんですかね、と世間話をしてるといきなり「LOGOSやって
      ますか、行ってみたい」というので、はあ2時過ぎまでなら大丈夫
      です、と店主(私)がいうので行くことに。昨日、歩いて店の前
      まできてくれたそう。この辺今、若者の溜まり場になっているし。

      夏は暑いのでしばらくお休みしていたんです、芸術祭をきっかけに
      ぼちぼち始めようとしているんだけど、なんかコロナとかまん防で
      と言い訳をして、すごく暑いですよ、居心地悪いですよ、と弁明する
      も「高松のなタ書より、はるかに居心地はいいです」と言って下さる。
      ある意味憧れ(?)のな夕書のキキさん(藤井さん)とは知り合いだ
      そう。「白い家」が生まれたのも、香川(高松)だということ。

      今手当たり次第に小説を読んでいると言うことで、いろいろな本を
      手に取り、カウンターに積み、出したり変えたり、変な質問にも
      気を悪くせず誠実に答えていただき(「夏目漱石と、森鴎外どっちが
      好きですか?」とか、「坂口(恭平)さんみたいになりたいんですか?」
      等)、後者の質問には「僕は僕になりたいだけです」ときっぱり
      断言された時、あーなんてヘマな質問をしたのかと反省した。
      そうだ、私たちは皆、ただ私になりたくて足掻いている、もがいて
      いる。私だってそうだ。誰かみたいになりたい訳じゃない、ロール
      モデルが提示する一定の成功ライン(売り上げいくら以上、とか、
      赤字が出ないようにするのが当然、とか)をなぞるのではなく
      自分で自分を定義して、自分で自分に命令をするのだ。情報は
      命令である。こうあるべき、この方がウケる、バズる、反応ある
      そういうことではない。

      ルターが聖書を字義通り読み返したように、読むのだ。ただ読む。
      原文を読む。誰かが解釈したり翻訳したものではダメだ、そこに
      訳者の恣意性が入るし、嘘を書いているかもしれない。それは
      ものすごく孤独な行為で、たった1人で深い井戸に沈むような行為で
      命がけの戦いだ。そうして文学から革命をおこすのだ(佐々木中風
      にいうと)。ギリシア語やラテン語を読めとは言わないけど、せめて
      森鴎外くらいはちゃんと文語体で読んでみようかな。
      鶴見俊輔や加藤典洋、網野善彦、國分功一郎、今私が興味を
      持っているのはそういう作家たちです。硬いねー。

      白い家を担いで歩き出す前は、すごい恥ずかしいし恐れもあったそう、
      でも彼はそれを乗り越えて歩き出した。
      LOGOSの店舗はある意味、村上さんにとっての白い家なのかも。
      ここを毎日開けるのは、すごい恥ずかしいし、勇気いるし、
      隠れているならいけど、誰かが来たら来たで恥ずかしいし。
      みんなが村上さんみたいに読書家ってわけでもないし。
      でも村上氏が「これください」と言ってたくさん本を買ってくれた
      時、やっぱ古本屋やろう、ちゃんとやろうと静かに心に誓った。

by iwashido | 2021-09-16 09:27 | ロゴス&LOGOS | Comments(0)

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