2022年 06月 27日
人生相談ー 地震が怖くて、この先の人生も嫌になりそうです。
6月某日 メール届く。
「大きな地震を体験し、余震も続いています。食器もたくさん割れ
倒れないと思っていた家具も倒れました。幸い命に別状はありません
し、家族も無事ですが、何かこの先がとても怖くなってしまいました。
もともと厭世的な性格です、生きていても楽しいと思える瞬間が
どんどん少なくなってきています。何かお勧めの本はないですか」
この方には、本を読む前にまず、ぐっすり眠る、美味しい食事を食べる、
ゆっくり温かいお風呂に入る、そういう基本的なことを薦めたい。
本を読むのはその後だ。
生きていて楽しい瞬間、などというのはそもそもどれくらいあるか?
個人差もあるだろう、きっと幸福度のハードルが高い方なのだろう、
生きているだけで丸儲け、という考え方もある。
温かいお風呂で疲れを取り、好きなものを食べ(お菓子でも良い)、
1時間でもいいから深い眠りを取った後におすすめしたいのは
この本かな。。。好き嫌いはあるでしょうが個人的な趣味で。
『神の子どもたちはみな踊る』(村上春樹/新潮文庫)。
単行本は平成12年に出ている。阪神大震災の後に、
6つの短編を収めた「After the Quake」というオビ文のある
小説集として出版された。モチーフは、U F Oだったり、焚き火
だったり、かえるくんだったり、蜂蜜パイだったりするのだが、
登場人物の誰かは、大きな地震でさまざまな様相で疲弊し、傷つき、
ひっそりと現場を離れ別の世界にいったり、新しい人生を歩き出したり
する。
わたしがくどくど説明するよりも、文庫本の後ろの解説(裏表紙)
に素晴らしい文章、これ以上的確には表せない文が載っているので
抜粋して紹介します。そして是非、この本買って、何度も読んで下さい。
「・・・大地は裂けた。神は、いないのかもしれない。でも、おそらく、
あの震災のずっと前から、ぼくたちは内なる廃墟を抱えていたーー。
深い暗闇の中に光を放つ6つの黙示録。」
ぜひ図書館で借りるのではなく、Bー× Fでもいいから文庫本買って
(もちろん単行本でも良い)くちゃくちゃになるまで持ち歩き
病院での待ち時間や、バスの中、公園のベンチなどで読んでほしい。
そう、地震のずうっと前からあなたはその空虚さを抱えていたのです。
今こそ、きちんとその空虚さに直面するべきです。
by iwashido
| 2022-06-27 13:47
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