2023年 10月 26日
自省録を読む理由
10月某日 良いお天気である。シャワーも浴びて散歩して、
あとはしばしのフリータイム。読書にも没頭できる。
書くことへの集中や没入も厭わないはずなのだが。
持ってきた本1冊は読了、さし入れを頼んだ2冊のうちの
1冊の漫画を繰り返して読んでしまうため、なかなか本丸に
至ることができない。残り時間も少なくなってきました。
マルクス.アウレーリウスの『自省録』を有名にしたのが
この漫画、『ミステリと言う勿れ』田村由美作、ドラマ化され
ちょっと前まで全国映画上映中だったと思われます、一部では
今もやっているのかな。マンガに出てくるライカさんは、
自省録をほぼ暗記しており、何ページの何行目の何個目の文字か
覚えていて、数字で思いを伝える。昔の暗号機のよう。
元になっているのが『自省録』っていうのがちょっといい、
ソクラテスやプラトンでは重すぎる、デカルトやスピノザでは
近すぎる、ローマの皇帝がギリシア語で残した日記のような
もの、自省録。このブログが千年後に残ることはないと思うが、
西暦121年に生まれた男(ハドリアヌス帝の次のローマ皇帝)の
言葉が今にも残っているなんてすごいじゃないですか。
アウレーリウスはストア派と呼ばれる思想を受け継いだので
書いてあることはカエサルのように派手ではない、自慢も
ひけらかしもない、文中にでてくる「君」とは自分自身のこと
であると考えられる、誰かを啓蒙しようとか、自分の手柄を
殊更見せつけようとかは考えてもいない。。。。
「死は誕生と同様に自然の神秘である。同じ元素の結合、
その元素への分解であって、恥ずべきものでは全然ない。
なぜならそれは知的動物にふさわぬことではなく、また
彼の構成素質の理法にもふさわぬことではないからである。」
「第四巻ー五」私の持ってる岩波文庫では52p。
死とか自然とか、欲をもつ必要はない、今のありのまま
で全て充足している、死はすぐそこにやってきている等、
今流行りの前向き思考、意志でなんとかなるとか、
願えば叶うとか、そういうポジティブさはない、
でも人間が本当に追い詰められたとき欲しい言葉はどれか、
明日にでも死はやってくるかもしれないと思えば、
なんと言うか一種の開き直り、諦念、あるがままの自然、
病院で自省録、はなかなかいいです。
もちろん漫画もセットで。次は國分セットに挑戦だ!
中動態の世界、を読了するのが今回の主目的だったのだが。。。
by iwashido
| 2023-10-26 15:48
| 読書日記
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