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古本LOGOSの 月1,2回古書店。

海にでるつもりじゃなかったのに(続)

5月某日 (ちょっと日にちが戻ります)
     金沢に出てしまえば、日本中どこでもいけるなぁ、という気持ちになるくらい
     半島の先というのは、遠方だ。若い時はそうでもなかった、日帰り平気(今もだけど)、
     この距離を遠いと思ったら奥能登では暮らしていけない、そう思い込もうとして
     自分なりには頑張った、でも今は、道の状態がまだ完全には治っていないのと
    (それでも元旦に比べれば格段によくなったのだけれども)、心理的負担、要するにストレス
     ですかね、まあいろいろ重なって、えいや、っと思い切らないと出ていけない。
     だからA氏からのお誘いが呼び水になって、もしかして私、新幹線乗ればどこへでも行ける
     んじゃないの? 出張扱いで出張費にすれば経費で落とせますか? などなど悪知恵も働き
     金沢に一泊して、翌日敦賀まで開業したという新幹線に乗り、京都を目指した。
     わたしはサンダーバードが好きでした。ゆっくりお弁当食べて京都まで一本で行けるのは
     サイコーでした、でもでもでも。なぜに皆はスピードを競う? 8分で乗り換え?
     モタモタする暇を与えない程、停車の3分前から出口前に行列ができ、停車してからお立ち下さい
     というアナウンスもなんの、しかもサンダーバード全席指定ってどういうことよー!
     と突っ込み満載の京都行。湖西線、いいよね。山の方ばかり見ていました。

     京都には大学時代の友人がいて、いろいろ事情があって子どもも巣立ち、一軒家一人暮らし
     なので、泊めてあげるよ、と言ってくれる。数年に一回くらいお邪魔している。
     図書館司書の通信教育のスクーリングも彼女の家から通った。
     京都よりは奈良に近い辺りなのであるが、京都は京都だ。大都会なのだ。

     彼女は日経新聞の読者で、読者プレゼントで「キュビズム展」の招待券プレゼントに当り、
     月曜日の夕方からだけど、行く? 2名までOKなのだよ、ということで、おすそ分けの
     1名にしてもらう。彼女はとても行動的で、しかもちょうど今年の3月で職場を
     定年退職して、まあ再就職活動中なのだけれども、話を聞くだけでもうらやましいほど
     いろんなところに出かけている。ポイ活も大好き、飛行機にのるために飛行機に乗って
     マイルをためて、本当に行きたいところに格安でいったり、ともかく発想が異次元である。
     京セラ美術館に行く前に、近くにある有名なホテル(もと都ホテル、今は外資が買収、
     VIPがたくさん泊まったり、レセプションパーティを開けるようなホテル)への無料シャトル
     バスに乗っていく。これも、涙ぐましい努力の末に勝ち取った会員カードのおかげらしい。

     Comfortというのはこういうことであるのか、というくらい居心地のよい空間。
     椅子、花器、飾ってある絵画、使われている石材など、格安ビジネスホテルで充分な
     我が精神が恥ずかしくなるほどに、奥行きと精神性を感じた。お金を払ってまで
     泊まろうとは思えないけれど、たまに来るのはいいな、、、と思った。庭園もあるしね。

     そしてキュビズム展、「現代アートを幼稚にした」という自覚のある一文とともに
     あまり個人的には好きくないいかにもなドラえもんより好きにはなれない金色の物体
     をみてそうか、現代アートは「幼稚」であることが価値なんだ、と理解し、
     ここ数年の現代アートブームの流れがよく分かった。アートというなら今の珠洲の風景
     こそまさにアートではないか。もうこのまま「震災アート」として永久保存しろや、
     と言ってしまいそうになるほどに精神は荒廃している。

     「キュビスム展」は良かった。セザンヌが、遠近法を無視した絵を描いたことが
     キュビズムへの道を開いたということらしい。物体を分解する。方程式のない因数分解か。
     もともと抽象画の方が好きなので(クレー、ミロ、Kandinsky展を学生時代に見たのが始まり)
     おおおー、という感じである。ありのままでないほうがよく伝わる、というものがある。
     一連の発展の歴史もよくわかった。途中「ロシアアバンギャルド」の作品が3枚ほど展示されて
     いたが、ここだけ漂ってくるものが違う。西洋史ではない、なにか。土着的、というかロシア的?
     ロシア正教と、ギリシア正教は仲良しなんだってね、ローマ帝国に屈しなかった二つの精神。
     加賀と能登みたいだな。経済性メジャーには乗れなくて、骨太で異質で田舎臭いなにか。
     ドストエフスキーやチエーホフが描き出そうとしたものに通じる何か。
     いまはよく言語化できない。もっと、本そのものを読まなくちゃね。元気になったらね。
     (わたしは、展覧会で作品写真を撮影することは好きじゃないので、掲載できる画像はないです。
      時間もぎりぎり2時間目いっぱいみていたので、ポストカードも1枚も買わなかったのは残念。)

     わたしにできることはなんだろう、できないことばっかりでめげそうになる、
     どこにいけばわたしのComfortは見つかるのか、、、長い旅は始まったばかりだ。
     あと最後の30年を、健康で幸せに生きることができるように、もっと自分に正直に
     なろう。大きな変化が始まりそうな予感がする五月の終わりであった。
   
海にでるつもりじゃなかったのに(続)_c0107612_10431436.jpg

by iwashido | 2024-06-09 10:47 | 朔のつぶやき | Comments(0)

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