2024年 06月 30日
ワタシの第一阿呆列車日記(フィクションです)
6月某日 梅雨入りした日は大雨だったが、その後また暑い日が続く。
そのくせ体調不良で鼻風邪はひくわ、脚は痛いわ、ろくなことがない。
そんなある日、ある飲み会のお誘いがあった、北陸(金沢や富山)に
住むある有志、同窓会みたいな感じであつまろー、というお誘い
である。昔なら電話や直接、もしくは往復ハガキでの出欠確認だ、
でもいまは、SNSという最強ツールがある、LINE がある、
年齢の差を超えて誰でも気軽にお誘いできる、そしてまた断るのも
昔ほど気兼ねはない。ごめんなさい、都合悪くて、次回また、
それだけ文字入力できれば誰に気兼ねすることもない。
幹事が把握したいのは、結局のところ参加人数なのだから。。。
行かない、という選択肢もあった、しかし私はそのつながりに
幾許かの恩恵を感じている、午前中に弟夫婦と姪っ子と遊ぶ予定
もある日だった、しかも会場は富山市内、普通なら、行かない。
でも、一人だけ仲良くしている後輩が、先輩自宅まで迎えにいくから
ご一緒しましょうよ、ほら車内から盛り上がってテンション上げて、
しかも6時開始の飲み会に、3時に迎えに来るという。3時?!
ありえん。だって、金沢ー富山って新幹線使えば30分かからんのよ?
鈍行でいったって1時間弱。うちは比較的駅に近い。
3時から集まるために、わたしはメイクに最低でも30分はかけたい。
シャワーから始まるならもっと時間が必要だ。無理、自力で行くって
言おうか。でもなあ。せっかく言ってくれているのに。迷った挙句
3時半くらいにゆるっと来てくれるなら、いこうかな、と返信した。
後輩は即刻了解、の絵文字を送ってよこし、同乗するあと2人の
名前も知らせてくれた。きっと高速道路は使わないのだ、
下道、もしくは8号線をゆっくり盛り上がりながら富山に行くのだ。
自分が運転するならありえない選択だが、世の中は持ちつ持たれつ、
たまにはいいのかもしれない、心の中でそう決着した。
基本的にお酒は好きなので、飲み会は嫌いではない。職場でない
なら全然いい。誰か意中の人がいるとか、きっかけ作り、とかの
下心もない。楽しくワイワイとお酒を飲んで、自分では作らない
美味しい料理やおつまみを食べて、隣あった人と会話する。
それだけのことが楽しくないわけがない。
当初の予定では一次会でさっくり切り上げて、列車最悪終電に乗って
金沢へ向かうはずだった。それがカラオケいくぞー、の流れに巻き
込まれてしまった。運転手の友達は、先輩、11時過ぎたら、
帰りましょ、ワタシ駅まで送るし、というのでそれならいいか、
と思ってしまった。その頃から記憶が朦朧としている。
歌は歌った、小栁るみこと南沙織。お父さんがいつも車のCDで
かけてくれるやつ。何回も聞いているうちに刷り込まれた歌。
みんな「昭和やね」「なんか、なつかしソングやね」とディスほめ
してくれる.自分では気に入っているのだけれど。
梅ロックのサワーが引き金だった。昼間の疲れもあって爆睡した。
同期で親友のAちゃんがいれば、横っ面をひっぱたいてでも起こして
電車で一緒に帰ったことだろう。ところが彼女はもう結婚して
この土地を離れた。哀しい。彼女がいれば。彼女のような親友は
もうできない、とわかっていても、もしかしたらAちゃん来るかな、
そんな昔の残像を求めて参加したのかもしれない。
気がついた時には空は明るくなっていた。眠り落ちした4、5名が
あー、ヤベー、とか言いながら目を擦りこすり起きてくる。
幸にして会場が駅近だったのと、始発でも帰れそうな時間帯だった
ので、もう学生ではなくボーナスが出たばかりの人もいるメンツで
とりあえず追加料金の精算をする。基本料金は、幹事が既にカード払い
済みで、ポイントためつつ、みんなからは現金で集金していた。
そこまでは、覚えている。え、なにこれ、予定と違うんやけど。
とりあえず駅まであるいた。鈍行で帰る人、富山市内在住の人、
そして新幹線で帰るわ、と言った私の3手に分かれた。だってさ、
一刻も早く自分のアパートに帰って、自分のお布団で寝るんだもん。
だって新幹線なら富山金沢市、30分かからないんだから。
始発の新幹線は空いていて、好きな座席座りたい放題なので
自由席の、一番ドア近くの後ろに気兼ねしないでリクライニング
出来る座席に倒れ込むようにして座った。各駅停車らしいので、
新高岡の次が金沢だ。あー、このリクライニングめちゃいいわー、
鈍行で帰ることにしなくてよかった、と思って目を瞑った。
あ、起きなきゃ。気がついたら、車内の電光掲示板の文字が変だ。
ティ、ユー、アール、ユー、ジー、エィ。。。。TURUGA?
つるが🟰敦賀?? お疲れ様でした、まもなく終点敦賀に到着です
お忘れ物のないようご準備ください。車内のアナウンスも変だ。
私は金沢行きの新幹線に乗ったんじゃなかったっけ?
ああそうか、3月に北陸新幹線は福井を通り越して敦賀まで
繋がっちゃったんだ。え、だからってなんで私が敦賀に来るのよ?
敦賀なんてさ、学生時代に高速で嫌になる程往復しました、小浜
だっていきました、だけどその頃は新幹線なんて夢だった。
憮然とした顔で座っていると、車内乗務員のお兄さんがやってきて、
お客様、どうされましたか、ああ、乗り越してしまわれたんですね、
悪意はありませんね、それなら誤乗車ということで、このまま
金沢までお帰りになることができます、幸いなことに5分後に向かいの
ホームから金沢行きの新幹線が発車します、自由席であれば大丈夫です、
そう言われてわたしは敦賀駅の改札を出ることもなく、そのまま
当初の目的地に向かって再び新幹線に乗ることになった。
わたしの計算では七時には(本当は12時までには)自分のアパート
に戻って布団乾燥機をかけたばかりのあったかいお布団にくるまって
眠っているはずだった。それなのに。それなのに。
アパートに着いたときには午前9時を過ぎていた。
馬鹿らしい。電車に乗るためだけに電車に乗ったようなもんじゃん。
これってだれかの小説にあったっけ?
ほら、借金してでも電車に乗った人。着いたらすぐ、また折り返しの
電車に乗ってヒマラヤ山系君といろいろ旅した人。阿呆列車とか
いう本の背表紙をお母さんの本棚で見たような気がする。
もういい、とにかく今はお布団でねるのだ、スマホの電源も切って、
iPadもオフにして、誰からの問いかけにも対応しません。
U子の脳みそはいまもう眠気で溶けそうなのです。
ですから皆さんは、くれぐれも乗り越しすることないよう、
アラームなどをきっちり設定して始発電車にお乗り下さい。
これがワタシの第一の阿呆列車日記となりました。
by iwashido
| 2024-06-30 23:02
| 朔のつぶやき
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