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古本LOGOS 「彼岸の古本屋」ときどき日記。

走ること、もしくは書くことの原点

 『風が強く吹いている』(三浦しをん・新潮社)を読む。まったく無名の大学陸上部が、箱根駅伝に挑むというお話。『一瞬の風になれ』が高校陸上の短距離を描いた作品だとするなら、こちらは大学陸上部の長距離、しかも駅伝に限った、それがまた人間ドラマになっている作品。

 秒単位で結果が出てしまう短距離に比べて、1時間以上走り続ける長距離は、走っている最中に登場人物が内面を見つめたり過去を回想したり出来る。ましてや舞台は箱根駅伝、お正月の一大イベントをその選考過程からじっくり取材して書いたのだなあというのがよくわかる。
 走るってなんだろう、なぜ走るんだろう。高校時代に故障したり事件を起こしたりしてすんなりと大学で陸上を始められなかった二人を主軸に、竹青荘に10人が揃ったという奇跡がすべての始まりとなる。「速さ」だけをきそうのではなく「強さ」を競う駅伝。走ることの意味は一人ひとり違っていい。一番になれなくたって、マンガおたくだって、双子だって、外国人留学生だって、誰だって走ることはできる。それぞれの独白を、「走る」=「書く」におきかえて心に刻み込む。
 『長距離ランナーの孤独』を読み返してみたくなりました。
by iwashido | 2007-05-29 09:14 | 読書日記 | Comments(0)

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